初夏色の風
【第一話】
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~ 初夏色の風 ~
ぼくは、中山裕也。桜が丘小学校に通っている小学五年生。
自分としてはごく普通の、どこにでもいる小学生だと思っているんだけど、
クラスメイトから言わせると、「かなり浮いている」らしい。
理由は、「いつも冷めた態度でいるから」ということだけど、「何がどう冷めた態度」
なのか自分ではわからない。
かったるいな~、と思いながら教室に足をふみ入れると、今朝も五年三組の教室は
ざわめいていた。
席についてランドセルを下ろす。
ねっとりと汗でしめったポロシャツが背中にまとわりつく。
ぼくは、この一番後ろの窓側の席が気に入っている。授業中に何をしようと
何を考えようと自由な席だ。
窓から外をながめると、ギラギラと太陽に照らされた入道雲がゆっくりと流れている。
いつもと変わらない初夏の時間がぼくをつつむ。
椅子に座って欠伸をしかかった時、ガラリ、と音を立てて教室の引き戸が開いた。
担任の原島先生に続いて、入ってきた女の子。
それが、田村春香だった。
◇………………………………………………………………………〔つづく〕………◇
【今日の覚えて欲しい漢字】
欠伸 (あくび)
眠い時、退屈(たいくつ)な時、
疲労した時などに起こる呼吸運動。
皆さん、眠い時や退屈な時には、つい、「ふぁ~っ」と
欠伸(あくび)がでますよね。
今日は、「欠伸」(あくび)の漢字の読み方と書き方を
ぜひ覚えて下さいね!
【第二話】
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~ 初夏色の風 ~
原島先生にかくれるようにして立っているその女の子は、とてもおびえているように
ぼくには見えた。思わずじっと見ていたら目が合ってしまった。
顔が火照るのが自分でもわかった。
クラスのみんなが、ひそひそとしゃべり出す。
「みんな静かにしろ!」という原島先生の一言で、一瞬、教室はシンと静まり返った。
原島先生は、みんながおしゃべりをやめたのを確認し、満足気に一呼吸すると話し
始めた。
「このクラスに新しいお友達がやってきました。 田村春香さんです。
お父さんのお仕事の関係で田村さんはこの町に住むことになりました。
これからみんなの仲間入りです。仲良くして下さい。田村さん、自分のこと、みんなに
紹介できるかな?」
その転校生は、「はい」と言ってうなずくと、さっきのおびえた表情が一変してぱっと
明るい顔になり、めちゃくちゃ元気のいい大きな声で言った。
「田村春香で~す!みんな~、これからよろしくね~っ!」
◇………………………………………………………………………〔つづく〕………◇
【今日の覚えて欲しい漢字】
火照る(ほてる)
体や顔などが熱くなったり、またそのように感じることです。
よく、恥ずかしい時などに「顔が赤くなる」という表現を使
いますね。それは、顔が火照っている(ほてっている)状態
なのです。
今日は、この漢字の読み方と書き方を
しっかりと覚えて下さいね!
【第三話】
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~ 初夏色の風 ~
元気のいい大きな声に意表をつかれて、クラスメイトたちはあぜんとしていた。
静かになった教室をゆっくりと見渡しながら、田村春香は白い歯を見せて、
いたずらっぽく笑った。
そして、「皆さんとお近づきのしるしに今日は手品をします!」というと、いきなり口から
スルスルとスカーフを引っ張り出した。
はっきりとは覚えていないが、たしか、いつかテレビで見たような気がする、そんな手品だった。
みんな「うわ~」という声を上げて彼女の口元を見入っている。
田村の口からスカーフが3枚出たところで、みんなが喜んで手をたたいた。
教室は、まるで寄席のように笑いと拍手の渦で満たされた。
「な、なんだ、こいつは・・・」ぼくはあっけにとられて満足そうにみんなの拍手にこたえて
うれしそうにおじぎをしている、その転校生を見つめた。
◇………………………………………………………………………〔つづく〕………◇
【今日の覚えて欲しい漢字】
寄席 (よせ)
落語や、手品、音曲など、大衆演芸をもよおす場所のことです。
入場料をとってこれらの見世物をお客さまに披露(ひろう)して
楽しんでもらう場所ですよ。
今日はこの漢字の読み方と書き方を
しっかりと覚えて下さいね!










