(日本学園中学校)「教室にこだまする『情熱大陸』」伊藤先生(高1B担任 国語科)
・・・以下引用・・・
「教室にこだまする『情熱大陸』」 伊藤先生(高1B担任 国語科)
高1の授業でのことだ。
現在、高校1年生は現代文の授業の中で、「ショウ・アンド・テル」と題した「スピーチ」を行う活動に取り組んでいる。
自己を紹介(アッピール)するために、必ず、自分を表すのに必要なものを用意し、クラスメイトに示しながら、それにまつわる思い出を中心にスピーチするという課題なのだが、生徒が持ってくるものは実に様々である。
それでも、部活にまつわるものはやはり多い。バスケット・ボール、バッティング・グローブ、バドミントンのラケット、卓球のラケット、野球のエースナンバー「1」が入ったユニフォーム、ラグビーの汗がしみこんだユニフォームなど、部活に注いだ思いを表すものとしては定番の感がある。
高1Fの授業でS君が持ってきたのは、なんと「バイオリン」であった。聴けば相当高価なものらしい。彼は幼少のころより習っており、手にしているものは、ようやく自分のものを手に入れたという、思い入れのあふれた品物である。
さて、スピーチだが、ひとしきりその「宝物」との出会い、愛着を語った後、クラスメイトの期待は、やはり「実演」である。興に乗ったS君は、「では、演奏します」と、おもむろに楽譜を広げた。曲はTBSテレビの番組のテーマ曲、「情熱大陸」である。
「クラスの前のほうだけでも、情熱的にさせます」
謙虚ではあるが、確実に言い放ち、演奏を始める。
あご下にかまえ、直立する。4本の弦を1本ずつ鳴らし、音程を確認する。その見慣れない光景に、教室内は誰もが息を呑む。まるで教室内の空気と生徒の「気」がバイオリンに開いたfホールに吸い込まれたかのようだ。
やがて、静かに演奏が始まる。普段見せる彼の表情とは明らかに違う表情。その真剣なまなざし、練習により身につけた俊敏かつ無駄のない腕の動き、高校生ともなると人前でこういうことをすれば多少の「照れ」もあるはずだが、そういうものを微塵も感じさせない、「凛」としたたたずまい。もちろん、演奏は上級者のそれだ。音をはずしたり、間違えたりすることはまったくない。幼少の頃から「情熱」を傾けていたことは一聴して分かる。
バイオリンという楽器の特質だろう。まさに上質の「木」が伝える振動が、空気を震わせ、私たちの耳を振るわせる。教室内、密接な空気を共有する私たちにダイレクトに伝わる。「共振」の瞬間である。
彼は一気に弾ききった。一瞬の余韻の後、教室は大きな拍手に包まれる。「鳥肌が立った!」と叫ぶものもいる。音楽が作り出した一体感にみな包まれている。喝采の中、再演を求める生徒もいたが、いささか、隣のクラスの迷惑もあるので、ここでにわかコンサートは終了した。
クラスメイトの真剣そのものの演奏に真剣に聞き入り、喝采を叫ぶ生徒たち。演奏者の「情熱」はクラスの他の者の情熱へと伝播する。「情熱大陸」とはよく言ったものである。
生徒のほうが、教員以上に「雄弁に」語り、伝えるときがある。
今後のスピーチでは何が飛び出すか。実に楽しみである。
詳しくはこちら→http://www.nihongakuen.ed.jp/cumpus/shokuin.html?id=51&pos=0#no3847
最終更新 (2010年 5月 24日(月曜日) 15:56)










