桜蔭中学校 対策
提供元:中学受験ドクター様
執筆/中学受験ドクター 三竹先生(元SAPIXαクラス講師) 1.桜蔭中学の傾向分析 1.桜蔭中の傾向分析 ⇒ http://www.chugakujuken.jp/ouin/sansu/33.html 2.桜蔭中への合格戦略の提案 ⇒ http://www.chugakujuken.jp/ouin/sansu/34.html 3.桜蔭中の合否を分けた一題 ⇒ http://www.chugakujuken.jp/ouin/sansu/35.html 4.桜蔭中の時期別学習法の提案 ⇒ http://www.chugakujuken.jp/ouin/category/sansu/san_jiki 5.桜蔭中の塾別学習法の提案 ⇒ http://www.chugakujuken.jp/ouin/category/sansu/san_juku 6.桜蔭中を目指す受験生へ ⇒ http://www.chugakujuken.jp/ouin/sansu/42.html 執筆/中学受験ドクター 毛利先生(元SAPIXαクラス講師) 1・桜蔭中の傾向分析 1 桜蔭中学の出題傾向分析 ⇒ http://www.chugakujuken.jp/ouin/kokugo/23.html 2 桜蔭中学への合格戦略の提案 ⇒ http://www.chugakujuken.jp/ouin/kokugo/24.html 3 桜蔭中学の合否を分けた一題 ⇒ http://www.chugakujuken.jp/ouin/kokugo/25.html 4 桜蔭中学の時期別学習法の提案 ⇒ http://www.chugakujuken.jp/ouin/category/kokugo/koku_jiki 5 桜蔭中学の塾別学習法の提案 ⇒ http://www.chugakujuken.jp/ouin/category/kokugo/koku_juku 6 桜蔭中を目指す受験生へ ⇒ http://www.chugakujuken.jp/ouin/kokugo/32.html 執筆/中学受験ドクター 河合(元市進上位クラス講師)
1.出題の傾向
1 桜蔭中学の出題傾向分析 ⇒ http://www.chugakujuken.jp/ouin/rika/43.html 2 桜蔭中学への合格戦略の提案 ⇒ http://www.chugakujuken.jp/ouin/rika/44.html 3 桜蔭中学の合否を分けた一題 ⇒ http://www.chugakujuken.jp/ouin/rika/63.htm 4 桜蔭中学の時期別学習法の提案 ⇒ http://www.chugakujuken.jp/ouin/category/rika/rika_jiki 5桜蔭中学の塾別学習法の提案 ⇒ http://www.chugakujuken.jp/komatou/category/rika/rika_juku 6 桜蔭中を目指す受験生へ ⇒ http://www.chugakujuken.jp/ouin/rika/51.html 執筆/中学受験ドクター 伊達先生(元CAP最上位クラス講師)
1.桜蔭中学の出題傾向分析 1 桜蔭中学の出題傾向分析 ⇒ http://www.chugakujuken.jp/ouin/syakai/52.html 2 桜蔭中学への合格戦略の提案 ⇒ http://www.chugakujuken.jp/ouin/syakai/53.html 3 桜蔭中学の合否を分けた一題 ⇒ http://www.chugakujuken.jp/ouin/syakai/54.html 4 桜蔭中学の時期別学習法の提案 ⇒ http://www.chugakujuken.jp/ouin/category/syakai/sya_jiki 5 桜蔭中学の塾別学習法の提案 ⇒ http://www.chugakujuken.jp/ouin/category/syakai/sya_juku 6 桜蔭中を目指す受験生へ ⇒ http://www.chugakujuken.jp/ouin/syakai/62.html 最終更新 (2010年 9月 10日(金曜日) 20:58) 算数
質・量ともに女子最難関
東大合格者数では女子校最多を続け、医学部進学者も多い、まさに女子最高峰の進学校である桜蔭中。
算数の出題も質・量ともに女子最難関を誇り、生半可な実力では太刀打ちできないことは周知の事実です。
大きな特徴として平成15年以前は算数と理科を合わせて55分という独特の出題形式だったことも挙げられます。
ただ、平成16年以降は、算数1科目で50分という一般的な出題形式に変更されたこともあり、以前よりも対策が立てやすくなりました。
そこで、ここでは平成16年以降の問題から傾向と、その対策を提案していこうと思います。
①男子最難関校並みの高度な出題
1立体把握 (H21 3)(H20 4)(H17 6)(H16 6)等
2書き出し (H20 5)(H18 4)(H16 2)等
これらの問題は、算数のパターン学習では全く歯が立ちません。
問題文を正しく読みこんで、自分の頭で考えて条件を整理するという思考力と作業力が試されています。
その対策は2[入試問題対策] ①思考力・作業力で述べてまいります。
②考え方を記入させる出題
今までは正しい答えを出せばよいと教えられてきた中学受験の算数ですが、考え方を記入させる桜蔭中では、正解に至るまでのプロセスも重視されるのです。
たしかに普段、式や考え方を書くことに慣れていない生徒にしてみれば、なんとも不安を掻き立てる内容ではあります。
ただ実は考え方を記入させるということは、むしろチャンスなのです。この部分点の取り方というものを、2[桜蔭中学への合格戦略の提案]②記述・表現力でお話ししてまいります。
③手間と時間のかかる計算
桜蔭中の場合は、決して「たかが計算」と侮ってはなりません。
大問1の計算問題から、計算量と同時に求められる工夫も高度な出題が見られます。
後半の出題でも計算量が多く、しかも答えが汚い数値になることも多いという事実にも注意が必要です。
したがって計算の処理だけでもかなりの時間がかかることを覚悟しておきましょう。
それを踏まえた時間配分のコツを、以下の2[桜蔭中学への合格戦略の提案] ③時間配分で述べてまいります。
2.桜蔭中学への合格戦略の提案
女子最難関の桜蔭中です。
「女の子に何もそこまで…」という同情があるならば捨てて下さい。
6年後の大学受験時には男女の差は存在しません。
小学生のうちから男子の最上位生と競い合うことで、大学受験にも通用する、勉強に対する体力を身につけておきましょう。
さて、桜蔭中の算数で合格点を超えるためには、盤石の基礎力の獲得を前提に、いかに高度な思考力、記述・表現力を身につけていくかが課題です。
①難問対策
(立体図形) (H21 3) (H20 4) (H17 6) (H16 6)等
見取り図だけでとらえることや、頭の中だけで考えることは、正直言って、かなり無理があります。
投影図、段に分けて考えるなど、平面でとらえることが必要です。
立体図形を苦手とする生徒は多いですが、実は平面図形と比べると、思考パターンは決して多くはないのです。
1つ1つ定石を確認し、問題に応じた応用の仕方を学んでいきましょう。
(不定方程式) (H18 4)等
問題の条件をまずは表でも図でも、自分なりの形で整理しなおすことが必要です。
次に整理することによって見つけた条件を○や□や△を用いて、式にしてみましょう。
条件に合致するものがひとつ見つかれば、あとは芋づる式に答えが見つかります。
この分野は類題に多数触れることで、すぐに式を立てることができるようになります。
(条件の整理) (H21 4)(H20 5)( H19 4 5)等
問題文の意味が捉えられないならば、まずは条件に合致するものを書き出してみましょう。
ただ書き出して条件に合うものを全て見つけるだけの問題も少なくありません。
もちろん、書き出すことによって規則が見つかり、その規則を式にすることで解いていく問題も多いです。
とにかくまずは手を動かすことが第一歩となります。
②記述・表現力
一般的に言われている「式を書く」だけの答案づくりでは、正直言って高い部分点は望めません。
必要なことは「式」ではなく「考え方」を明らかにすることです。
「考え方」は「式」よりもむしろ、採点者に授業をするつもりで「言葉による補足」と「解答方針の図示」を多用していくことが大切です。
ただ桜蔭中の解答用紙は開成中や栄光学院中、鴎友学園中などと比べて記述欄が狭いことも特徴として挙げられます。
書きたいことを全て書くのではなく、必要なことを簡潔に書く練習も必要です。
その際、見やすく、字もきれいに書くことは、自分の見直しにも有効ですし、何よりも採点者への絶好のアピールになります。確実に部分点を稼ぎましょう。
ただ、この答案づくりは個人差が大きいのが事実です。
トレーニングを重ねると、一般的には、始めは論理的に破綻した答案でも、冗長すぎる答案を経て、最後に無駄がそぎ落とされた良質な答案が出来ていきます。
段階に応じた適切なアドバイスを受けることで、次のステップに進むことが出来ます。
したがって専門家による添削指導は必須です。
個性を活かしながら、より良い答案が作れるよう、良質な添削を重ねてもらい、桜蔭中合格に向けた答案の質を高めていきましょう。
③時間配分
50分で大問5~6個というのは一見すると1問あたり10分近く時間をかけることが出来、余裕のある設定に思われます。
しかし計算が煩雑なことや、調べ上げるのに時間がかかる出題も多いことから、決して余裕のある時間設定とは言えません。
きちんとした計画的時間配分が出来なければ、むしろ短いとも言えるのではないでしょうか。
そこで時間配分に明確な作戦を立てることは必須です。
ただ計算のスピードや、分野による得手不得手は個人差が大きいので、第三者による分析、アドバイスが必要となります。
残念ながら、この最適な時間配分の提案は保護者の皆様には難しいのではないでしょうか。
数多くの桜蔭受験生を指導し、専門的知識を持った講師の個々のアドバイスを参考に、個々人に応じた時間配分の作戦を立てていきましょう。 国語
概論
桜蔭中の国語は、今年度の入試問題に象徴されるように相当高いレベルの国語力を求められている。
特に、説明的文章が苦手な生徒は、いくら国語の成績が良くても苦戦するだろう。
なぜなら、まず説明的文章の語彙の難易度が相当高い。正直、大学入試レベルに近いものがある。
さらに、ここ3年の傾向から説明的文章の難易度がやや下がっているが、文学的文章の難易度は相変わらず高いので、説明的文章で点数を稼がないと苦しい。
また説明的文章は、答えの手掛かりが明確な分、記述問題でも比較的差がつき易いので、説明的文章が苦手な生徒は、この点でもかなり不利であろう。
一方、設問を見てみると、桜蔭中の国語の入試問題は、設問のつながりや設問文の条件をしっかり意識して、解答を導くことが要求されていることに気づく。
これは受験者が、設問者の意図を読み取る論理性があるかどうかを、学校側が確かめたいのであろう。
以上、大学入試に通じる高いレベルを要求される桜蔭の国語は、間違いなく筑駒、灘はもとより開成中や麻布中などの男子御三家をも凌ぐ、トップクラスの入試問題であろう。
これから、この桜蔭中の傾向や対策を具体的に見ていく。
文章の傾向
①総字数は6000~9000字程度。(400詰め原稿用紙15~22枚程度)
②説明的文章、文学的文章の2題構成。
③説明的文章は、詩(平成21,17年)、絵画(平成22、15年)、連歌(平成18年)などの文芸論や言語や読書(平成18、19年)に関する題材が多い。
一方、文学的文章は友人関係や家族関係を通して、少年や少女が精神的に成長していく姿を描いたものが多く、生き方や死などの哲学的なテーマを扱った文章がほとんどである。
設問の傾向
①文学的文章の設問数は3、4問程度で、説明的文章は5問程度。とくに説明的文章は設問同士がつながっていくので、注意。
②文章題の問題はほとんどが記述式で、総字数は平成18年900字→22年520字と減少傾向だが、自分の言葉を補って説明する度合いが高いので、難しく、時間的にも厳しい問題ばかりである。
③桜蔭中の記述問題は、字数制限がないものがほとんどだが、文学的文章の最後の問題だけはだいたい200~250字程度の字数制限がある。他の問題はだいたい解答用紙の枠から推測すると平均50~60字程度の字数でまとめればよいであろう。
④漢字の書き取り問題は、説明的文章から多く出題される。
⑤穴埋め問題(語句を入れる問題)が1題程度出題される。
⑥説明的文章で、短めの文章を2題、3題用意し、それらの文章をつなげて答えさせる記述問題が出題される傾向がある。(平成16,20,22年)
⑦傍線部の意味を問う問題が多く、必ず心情の変化や主題、要旨をまとめさせる記述問題が出題される。
以上のことを踏まえ、文章のジャンル、設問のタイプを表にすると次のようになる。
↓
分析表

2・桜蔭中への合格戦略の提案
では、これから桜蔭中の入試問題の攻略方法を文章編と設問編に分けて具体的に提案させていただく。
文章攻略法
A.説明的文章
まず大切なことは、丁寧に読んで、しっかり理解するという意識を捨てることである。
抽象的な内容で、小学生には身近ではないテーマが扱われているうえに、語彙も難しい。
語注も最近は少ないので、あてにならない。
このような文章をいくら優秀な生徒とはいえ、限られた時間の中でしっかり理解することは不可能に近い。
だから、初めからそれを求めずに、形式段落ごとに内容を整理しながら読んでいき、文章の概略をある程度(どんなことが、どの辺りに書いてあるか、話題の中心は何か、筆者が感じたことや考えたことは、どんなことかをおおまかにとらえる程度)押さえればよいとある意味開き直って読むことが重要である。
また最近の傾向として、短めの文章を2題、3題用意し、それらの文章をつなげさせて答えさせる記述問題が出題されることがあるので、このような文章題が出題されたら、必ずそれぞれの文章の共通点を考えておくことが大切である。
具体的な攻略方法
①具体例と抽象(話題の中心、筆者の考え、心情)を区別する。
②形式段落ごとに、抽象の部分に印、線をつける。(形式段落そのものが具体例の場合には、その前後の段落が抽象の段落になるので、その段落の内容を重点的にチェックする。)
③繰り返しの言葉、対比表現をチェックする。→桜蔭中は、話題が繰り返されたり、対比関係になっている文章が多いため。(もちろん、これは桜蔭中だけでなく他の説明的文章の読解でも通用する方法である。)
④指示語の内容は明らかにし、順接、逆接、言い換えの接続語の前後の文に注意する。
→文脈を正確に理解するため。
⑤桜蔭中の文章は、文章のはじめと最後を重点的に読むなどの手法は全く効果がないので、やめておく。また、傍線部の前後だけ読んでおく、解きながら文章を読む、設問を先に読む、
などのいわゆる受験テクニックも全く通用しない。必ず、最後まで読んでから問題を解くこと。
⑥傍線部の前後は、特にしっかり読んでおく。(上記で述べたように、くれぐれも傍線部や前後だけ読むようなやり方はしないように。)
→桜蔭中の問題は、某国立大学の現代文の問題のように、傍線部の意味を踏まえて答えるものがほとんどなので、特にチェックする。
⑦短めの文章が複数出てきたら、それぞれの文章のつながり【共通点】を意識しておく。
B.文学的文章
長文なので、一気に読むのではなく、場面分けしながら内容を整理して読んでいく方が効果的である。
また、必ず中心人物の心情の変化を問われるので、文章前半の気持ち→変化のきっかけ→変化後の気持ちを押さえながら読むことが重要である。
さらに、中心人物の境遇や特徴を掴んでおかないと、最後の心情の変化の記述問題が解けないので、しっかり押さえておく。
具体的な攻略方法
①起(事の始まり、設定)、承、転(主人公の心情が大きく変化するきっかけとなった事件)、 結(文章の結末)を意識する。(特に起、転、結は重要。)
②時間、場所の大きな変化、登場人物の変化、中心人物の心情の変化に注意しながら、①を踏まえ、場面分けをしていく。
③文章の前半の書かれてある中心人物の境遇や特徴に線を引く。
④中心人物の心情表現に線を引きながら、その理由となる部分をチェックし、→で結んでおく。(因果関係を意識しながら読むと心情が具体的になり、分かりやすい。)
桜蔭中で出題される物語文は『セリフ』が心情のヒントになることが多いので、要注意!!
主な設問のタイプ別攻略方法
(難易度付き→易しめ=基本、中位=標準、難問=応用、超難問=発展)
A.漢字の書き取り
難易度は応用レベル。
だいたい6年生で習うような漢字が多い。
言い換えれば、簡単な漢字問題は出ないということ。ただ、桜蔭中を受験するなら、このレベルの漢字は確実に点数に結び付けたい。
あと22年度では、あてはまる漢字を使って熟語を作らせる問題が出題されたので、注意が必要。(熟語で漢字を覚えさせる陰山先生の影響?)
B.記述問題(すべて難易度は高め。応用から発展レベル)
★説明的文章の記述問題
典型的な問題例
①傍線部の意味を問う問題
これは物語文にも言えることだが、傍線部をしっかり読みとらせる問題が多い。
平成20年度では、傍線部3のから読み取れることを傍線部4から考えさせるという問題を出題している。これほどまでに、傍線部の正確な解釈を求めるのが、桜蔭中なのである。
対策としては、設問文が聞いていることや設問条件をしっかり押さえたうえで、傍線部やその前後の文をよく読み、傍線部の文で不明確な言葉や内容を具体化していくこと(例えば、傍線部に指示語や比喩があれば、何を指しているのか、前後の内容からはっきりさせていく。)が重要である。
そのうえで、キーワード(問われている言葉)をとらえ、それを具体的に説明しているところを探せば、解答の根拠が見つかる。
後は、因果関係に注意しながら、まとめていけばよいのである。
具体的な解き方の例
平成20年度 一 問三
傍線部「イラクで毎日人が死んでいることも知らない」について、何故知らないと言うのか、この傍線部に込められた筆者の思いを説明せよ。という問題。
↓
まず、この設問が二段構えになっていることに注意する。
答えるべき内容は、
①「知らない」と筆者が言う理由
②①のように表現することで、筆者が読者に伝えたい思いは何か。
以上、二つである。
そしてポイントは、筆者の考える「知っている」とは何かということを押さえることである。(「知っている」という言葉の定義づけ)
↓
次に、傍線部の前後の内容を確認する。
すると傍線部の直前の形式段落の内容から、「私」たちは、その対象物を知識として学習することによって、実際に見てもいないのに、「知っている」と錯覚しているだけであり、だから本当にその対象物を「知っている」とは言えないという筆者の考えが読み取れる。
つまり筆者は、知識としては知っているが、実際に見たり聞いたりしていないので、そういう意味で、「知らない」と言っているのである。
↓
次に、②を考える。
上記のことから、自分たちが物事を情報だけで深く考えずに判断してしまう傾向があることが分かる。だから筆者は、あえて傍線部の直後に「自分が知っているのは目の前に寝ている猫たちが愛らしいということだけだ。」と傍線部の内容と対比させる文を書くことで、自分は情報として、それを(傍線部の内容)知っているだけであることを強調するとともに、それを「知っている」と錯覚してしまう自分たちへの戒めの意味もこめて傍線部のような表現をしたことが読み取れる。
↓
後は、①を理由にして、②を文の最後に持ってくる形でまとめる。
②文章全体の内容から考えさせる問題
まずは、設問のつながりを意識することが重要である。
設問作成者は文章全体の内容を問う問題の前に必ず、ヒントとなる設問を用意しているということである。このことを意識して解くことが大切なのである。
あともうひとつ重要なのは、設問条件を正確に読み取ることである。
なぜなら桜蔭中は、設問条件で解答の方向性を示しているので、設問条件を読み落せば、解答の方向性がわからないまま根拠を探し、答えを考えるということになり、誤答の可能性が高くなるからである。
桜蔭中の問題で設問条件を読み落とすことは「命取り」になる。
もちろん、傍線部の内容をしっかり把握することは当然である。
以上のことを踏まえて設問を解いていくことが、このようなタイプの設問の攻略につながる。
具体的な解き方の例
平成17年度 一 問四
傍線部「天地人一体となった境地」が作者のいう「現実をふまえ、現実をこえる虚構」としての詩の世界だと考えられるが、どのような現実をふまえ、どのように現実を超えていると言えるのか。詩の内容に即して説明しなさい、という設問。
この文章には、この作者のいう「虚構」についての説明が書いてあるので、その内容を踏まえていることが前提の問題である。
↓
まず、設問条件の通りにこたえていく。
詩の内容から⇒①現実にあたるもの
②現実ではないもの=幻想
③②のきっかけ
をそれぞれ考える。
さらに、問二、三がヒントになることを押さえる。
↓
次に、筆者の解説文から上記の内容に当てはまる部分をそれぞれ考える。
すると・・・・・・
①⇒二本の手で泳ぐことが詩の中の「現実」=事実
②⇒傍線部⑤と直前から、自然と一体化した感覚を持っている心理状態=幻想
③⇒問二で解いたように、筆者は詩の表現から透明感、一体感を感じることを述べたうえで、「およぐひと~月をみる。」という表現の解釈で②へと結び付けているので、これが②のきっかけである。
ということが分かる。
あとは、これらの構成を考えてまとめていく。(①→③→②)
(説明の都合上、このような構成にしたが、この問題を実際に考えるときは、②⇒③⇒①という順で考えたほうが無難である。解答の「後ろ」の部分から考えることによって、解答の方向性を正確につかめるからである。この「後ろ」の部分は、文章の終わり、もしくは傍線部付近であることが多い。)
注目の問題
短い文章を二つ、もしくは三つ出題し、設問条件によって、それらの文章をつなげて答えさせる問題が、22年度の一 問四(2)と16年度の一問七に出題されているので、注意が必要。
例えば22年度の問題一 問四(2)では、「百枚の写真より一枚のスケッチが重要である」と筆者が考えた理由を二つ目の文章で考えさせたうえで、それと同じ内容を一つ目の文章から探させている。
このような問題は、出題されている文章の要点を理解したうえで、設問条件に合わせて、それに該当している部分を探し、記述化していくという手順を踏んでいく必要があり、小学生にはかなり高度な問題である。
解き方のコツとしては、
①段落の要点を押さえながら、文章を読んでいく。
②設問のつながりを意識する。
(平成22年度の問題では、問四(1)以外にも、問一が答えの重要なヒントになっている。ただ、問一と問四(2)の解答が重なっているのは気になるが。)
③設問文で聞いていることや、その解答の手掛かりとなる設問条件をしっかり読み取る。
などがあげられる。
★文学的文章の記述問題
典型的な問題
文章全体から心情の変化を読み取らせる問題
心情の変化を「生き方」や「人間性」=哲学的なテーマ、大人の価値観(道徳的なテーマ)に結びつけて考えさせる問題で、だいたい二百~二百五十字以内で記述させる問題である。
基本的には設問の最後のほうに位置していることからもわかるように、これまでに解いてきた設問がヒントになる。
これを踏まえたうえで、
①文章の結末(傍線部がある場合は傍線部付近)の主人公のセリフを押さえる。→変化後の心情の読み取り
②①のきっかけとなった出来事(転)を押さえる。→さらに、そこで何を感じたのかを確認する。(つまり、学んだこと。ここで、「生き方」や「人間性」=哲学的なテーマ、大人の価値観(道徳的なテーマ)がかかわってくる。)
③②より以前の心情をセリフや今まで解いてきた設問の解答などを手掛かりに読み取る。
以上の手順で考え、③→②→①の順でまとめていくことがポイントになる。
※具体的な解法例は「桜蔭中の合否を分けた一題」で取り上げます。
注目の問題
傍線部の後に続く内容を考えさせる問題が、平成22年二の問二、平成20年二の問三
で出題されている。
もちろん勝手に想像することを求めているのではなく、傍線部までの文章の流れを踏まえたうえで、傍線部の内容に合うように考えていくことを求めている。
例えば、平成22年度の問題では、周りに合わせて、本音を語らずに表面的な生活をしている「まりかちゃん」やクラスのみんなの生き方にふれながら、傍線部の最後を「だけど」という言葉で終わらせて、そのあとに続く内容を考えさせている。
解き方としては、このようなクラスの「みんな」の生活と、自分自身の心に正直であろうとする主人公の考え方の違いを踏まえたうえで、クラスの「みんな」のような生活が本当の幸せではないという内容にまとめればよいだろう。
理科
桜蔭中学は、H16年度から出題形式を大きく変更しました。
以前は、算数と理科を合わせて55分という形式でしたが、現在は理科単独で30分となっています。
変更前は、理科を15分程度で解く必要があり、問題もそれに合わせて基本的な知識確認と簡単な力学の計算に終始していました。
出題形式を変えて以降、思考力を試す傾向を少しずつ強めていますが、全体的に難化しているという程ではありません。
桜蔭中学を受験するに当たり、理科で"ライバルと差をつける"ことはほぼ不可能でしょう。
"ライバルに差をつけられない"ことを考えて下さい。
1)スピードと正確さの両立は必須
桜蔭中学の理科は受験生のレベルから考えると非常に簡単とも思える内容になっています。
普通であれば差がつくと考えられる計算を必要とする問題も、難問や奇問の類は出題されず、桜蔭中受験生が外して良いものでは決してありません。
つまり、非常に高得点で差のつかない争いになるということです。
この中で、唯一受験生に負荷がかかるとしたら、それはスピードです。
出題形式の変更に伴い、少し時間に余裕ができたように感じるかもしれませんが、思考問題が増えたことなども考え合わせると、依然時間的に厳しいことに変わりはありません。
加えて、相当の高得点争いが予想されることから、ただ"早い"だけでなく、"正確に"解くことももちろん必要なわけです。
この"スピードと正確さの両立"を実現するためには、まず、早いうちから基礎知識を確実に固めることが必要となります。
計算量も多いですので、知識問題で時間を食うことは許されません。
また、全ての分野から満遍なく出題があることから、苦手分野を作ることは絶対に御法度です。
2)計算問題が頻出
以前より物理の力学分野の計算は頻出分野でしたが、出題形式の変更後、そのほかに化学・生物・地学の分野からも計算を必要とする問題が出題されるようになりました。
その割合は非常に高く、計算問題ができなければ早々に戦線から離脱することになると言っていいでしょう。
(1)力学分野の重要性
力学計算は、必ず出ると考えてください。
下の分析表を参照して頂けると一目瞭然かと思いますが、ここ10年で力学の出題がなかったのは出題形式変更の翌年、H17年度のみです。
形式変更に伴い、出題パターンにも変更を加えようとした結果かもしれませんが、翌年以降はまた元の力学偏重に戻っています。
また、H20年度(大問Ⅰ天秤、大問Ⅱ・物質の性質と浮力)やH18年度(大問Ⅰ・天秤と浮力、大問Ⅱ・熱力学)は、大問4問中2問が力学絡みの出題となっており、学校側が、如何にこの分野を重要視しているかが見て取れます。
因みにH18年度の大問Ⅱは、塾では燃焼などと共に化学分野と一緒にして学ぶことが多い単元のため、分析表では化学分野の"燃焼と熱"として分けていますが、この問題では燃焼には一切触れず、純粋に熱力学の問題となっています。
力学というと、一般的には点を取りにくい分野ですが、桜蔭中学受験生は出題されると分かっているので必ず対策をしてきます。
加えて、男子校並みの難問が出題されるわけではないので、ほとんどの受験生が問題なく高得点を取ってくると考えるべきでしょう。
「苦手だから」「ほかの分野は得意だから」という甘えは通用しません。
標準的な問題は確実に得点できるようにしておくことが必須です。
(2)化学分野
化学分野の計算は、中和や溶解度での出題が主です。
力学分野の次に、計算問題が出題されやすい分野ですが、そこまでややこしい出題は見受けられません。
H20年度の大問Ⅱでは、水・空気の性質に浮力を絡めた問題の出題もありました。
毎年必ず出題があるわけではありませんが、確率はかなり高いので必ずマスターしておく必要があります。
力学では差が付かない分、対策が後回しになりがちなこちらで差が付く可能性もあり、軽視できません。
(3)生物分野・地学分野
この分野での、過去の計算問題の出題例は、H21年度大問Ⅲ(生物の個体数変化)・H19年度大問Ⅰ(大気の上昇と雲のでき方)大問Ⅲ(道路建設による林縁の拡大)・H17年度大問Ⅱ(温暖化と海水面の上昇)などです。計算とは言えないような簡単な足し引きや大小の判断は省きました。
ほとんどが比例式で解けるパターン的な理科の計算とは一味違う、若干面倒な計算も含まれています。
最初は戸惑うかもしれませんが、桜蔭中学受験生レベルで歯が立たない程のものではないでしょう。
女子校の入試理科は、計算問題で点差が付くと考えられがちです。
しかし桜蔭中学の場合には、それは必ずしも当てはまりません。
受験生のレベルは非常に高く、厳しい言い方をすると、出題されている程度の計算問題でつまづいてしまう生徒は、そもそも戦いに参加してすらいないのです。
全て正解を出す、というつもりで取り組んで下さい。
3)記述問題の変化
出題形式の変更以前の桜蔭中学の理科においても、記述問題は無かったわけではありませんが、それらはあくまで、塾のテキストにもよく載っているような、知識問題的な記述でしかありませんでした。
ところが、変更後は、他の男子上位校が好むような、実験や観察の結果から理由を類推させる問題が目立ってきています。
とはいえ、これらも手が付けられないような問題ではないので、対策をしてしっかり得点できるようにしておく必要があります。
4)分野別
どの分野も、環境問題との絡みで出題される問題が、時折見受けられます。
例を挙げると、化学とリサイクル、地学と地球温暖化、生物と乱獲や森林伐採などがそれに当たります。
以下、分野別の特徴を述べていきます。
○物理分野
力学分野は必出というべきでしょう。
天秤・振り子・輪軸・浮力などが狙われやすい単元で、化学分野との融合問題も時折見られます。
電気や光はあまり見られませんが、全く出題例がないわけではないので、基本的な知識と考え方は当然身につけておかなければなりません。
○化学分野
中和や溶解度などの計算問題は出題率の高い単元です。
そのほかには、物質の性質を問う問題が良く出題されています。
また、物理分野に近い出題(熱力学・浮力との融合問題)も見られます。
○地学分野
天体や気象からの出題が目立ち、地質・地形からの出題は多くありません。
特に天体では、動きに焦点を当てた問題が多く、桜蔭中の1つの特徴を作っています。
惑星の動きなども、自分で作図をして解けるようにしておく必要があるでしょう。
○生物分野
知識だけを問う問題ではなく、実験や観察の結果を分析する問題が多く出題されています。
計算を必要とする問題も出題形式変更以降隔年で出題されており、速さと馬力のある計算力を求められます。
聞かれる知識自体は、非常に基本的な内容です。
全体的に受験生のレベルに比して平易な内容です。
基本的な知識・考え方の完全マスターを前提として、とにかくスピードと正確さを競う勝負になっていると考えるべきでしょう。
とにかく、桜蔭中学受験において、理科で大きく失点することはすなわち不合格を意味します。
具体的な対策については、以下の3[入試問題対策]で詳らかにしていきます。
5)分析表
[最近5年の難易度]

[最近11年の出題分野分析]

2.桜蔭中学への合格戦略の提案
基本的な知識と考え方を完璧にマスターした上で、処理力を極限まで上げて行くことが命題となります。
これは出題内容が平易な分、「ミスしたら負け」というサドンデスの様相を呈するためです。
では、具体的にどういった対策を立てることが可能か、実際に受験ドクターで行っている対策も合わせて、説明していきます。
Ⅰ.スピードと正確さを身につけるために
女子の最高峰、桜蔭中でのスピード勝負という事で、ハイレベルの問題を短時間で解く訓練をしようとしてしまいがちですが、まずは基本的な処理力を備えていることが大前提です。
そしてこれは、6年生になる前にある程度完成させておくことが望ましいです。
処理力というとやや漠然としていますが、具体的には以下の3点に留意することでクリアできます。
(i)基礎知識の完全マスター
傾向分析の項でも述べましたが、知識問題で悩んでいる暇はありません。
「あれ、どっちだったかな…?」
なんて思っている内に時間は無情に過ぎて行っていまいます。
勿論、緊張ゆえの度忘れということもあるでしょうが、そういう場合は一旦飛ばして、全て解き終わってから戻った方が効率的でしょう。
とはいえ、そういった問題がいくつもあるようでは困りますし、受験生本人も心理的に焦ってしまったり追いつめられたりして、他のミスを誘発しかねません。
やはり、基本的な知識は条件反射的に答えられる位身に染み着かせておくべきです。
これは塾のテキストをカリキュラム通りにやっているだけでは不十分です。
順々に単元をこなしている内に、前の事を忘れてしまうからです。
忘れること自体は仕方のないことです。しかし、忘れっぱなしにしてしまうのはいけません。
塾で今やっている範囲以外も、暗記モノは常に回しておくようにして下さい。
覚える→忘れる→覚えなおす…を繰り返すことで、知識は定着しますし、暗記力自体も向上します。やり方はいろいろあります。
紙に書いてトイレに貼っておく・フラッシュカードを利用して通塾時間に見る・テキストを音読する…等々。
人によっては、音読したものをテープに吹き込んで聞いたりもします。
そして、この時大事なことは、きちんと覚えているかどうかチェックする、という事です。
フラッシュカードを使っている人は、覚える作業とチェック作業を同時にしていることになりますが、ほかにもオレンジペン+赤シートを使う方法もありますし、あるいは塾の宿題等でなかなか手間が掛けられないということであれば、文庫サイズの暗記用テキストが市販されているので、それらを利用しても良いでしょう。
時間が取れるのであれば、基本的な問題~標準的な問題に取り組むに越したことはありません。
因みに、この"知識"の中には、"基本的な考え方(本質)"というのも含まれています。
当然分かっていることとは思いますが、ただ単に単語や数字を丸覚えする行為は全く無意味です。
後にも述べますが、図を自分で書きながら本質の理解を深めて行って下さい。
(ii)計算力の強化
次にすべきなのは、圧倒的な計算力の習得でしょう。
桜蔭中学では、理科に限らず算数においても、相当の馬力を必要とする面倒な値の計算がしばしば出題されます。
こういった計算に怯まず、かつ正確に進められるだけの力が桜蔭中合格の必須条件となるわけです。
「ややこしい計算ほど燃える」なんて余裕を持てる位の計算力を6年生になる頃には付けておいて下さい。
(具体的に言うと、小学校のテストの残り時間に余興として2の100乗を正確に計算できる位です!←経験談)
本来、これは低学年からの着実な積み重ねで身に付けるべきものであり、あとは各塾で配布・販売される計算練習用のテキストや普段の問題演習で自然と強化されてくる筈ですが、力不足に思い当たるのであれば、市販のテキストを併用する等の対策も必要でしょう。
計算練習は量をこなすことも勿論ですが、"計算の工夫"や"良く出てくる数字の倍数を記憶すること"を意識するかしないかが分かれ目になります。
"サドンデス"の桜蔭中学理科においては、一問の計算ミスも許されないことを肝に銘じましょう!
(iii)比や逆比の関係をイメージや感覚(センス)で掴む
これも計算力と繋がっている話になりますが、前項が左脳の働きに関係しているのに対し、本項は右脳の働きに関係しており、異質な話になるため項目を分けました。
狙われやすい力学や化学の計算問題は、基本的に比例式で処理できます。
しかし、一々比例式を立てて"内項の積=外項の積"で計算していては、いつまでたっても時間の短縮は図れません。
直接分数の式に変換する力は必ず身に付けておくべきでしょう。
また、簡単な値であれば、態々式を立てなくても数字が出てくるようにするべきです。
この時、正比例なのか反比例(逆比の関係)なのかという判断は、一瞬で付けられるようにしておくのが必須です。そしてその際に"理屈"は不要です。
勿論、理屈の全く分かっていない人にこの一瞬での判断は無理だとは思います。
理屈は一旦消化した上で、イメージ力と感覚を使って下さいという意味です。
これは知識と技術を兼ね備えたレーサーが、猛スピードで疾走する中、一瞬でコースを選択し、ハンドリング、アクセルワーク等を判断するのに似ています。
低学年のころから、リボン図や円グラフなどで分数や割合・比をビジュアル的に捉えている生徒はこの辺りが非常にスムーズです。
つまり、図を描ける生徒は処理力が高いという事です。
4・5年の内はしつこい位に図を描いて下さい。
(実は比や割合に限りません。桜蔭中学の特徴である天体の動きの問題も、図を何度も描いて理解を深めて行くべきです。)
それをしていれば、6年になる頃には図を描かなくても脳内で処理が出来るようになります。
通常、カリキュラム上で比を習うのは5年後半ですが、先取り学習をして早めに慣らしておくのも一つの方法でしょう。
以上3点がきちんと出来れば、スピードと正確さは自ずと付いてきます。
…と、ここまで進めてきて、お気づきの方も多いかもしれません。
桜蔭中学の理科対策は、非常に基本的なことばかりなのです!
書いているこちらも、低位生向けのアドバイスだったかしらと勘違いしそうになりました。
しかし、これらを6年生に進級するまでにほぼ仕上げてくるのが、桜蔭中受験生です。
6年生以降は問題演習を繰り返し、処理スピードを一層上げて行くことがメインになります。
SAPIX以外の塾は、6年の夏休み前まで新しい単元の学習が続きますから、基礎知識の完全マスターに関してはそこまで掛かります。
けれど、少なくとも5年生までの範囲に関しては、6年に上がるまでに完璧にしておきましょう!
では、実際に受験ドクターで行っている方法についてお話してまいります。
他塾と掛け持ちをしているドクター生の場合、まず塾でやっている単元とは違う範囲(既習範囲)の問題演習をあえて行います。
(i)で述べた、「暗記モノは常に回す」の部分です。
ここで本質の理解に不備が見つかることも少なくありませんので、理解しきれていない部分の解説を行い、必要な単元では作図の訓練をさせながら、知識の定着を図ります。
一方で、(ii)(iii)の部分は、算数の範囲になってきますので、算数の担当講師と連携し、計算量を増やすなり、比の先取りをするなりの対策をして行きます。
これが5年生の話です。
この際、全単元終了が6年生の夏前になる四谷大塚生や日能研生は、生徒の状況に応じて、単元を先取りしていくこともあり得ます。
SAPIX生の進度に合わせる(もしくは近づける)という事です。
実際には、SAPIXの授業スピードはかなりハードですので、無理に全員がそのスピードにする必要もありません。
あくまで、それまでに塾で終えている範囲の完全マスターが最優先事項です。
これで基本的な処理力を身に付けた上で、6年生の2月を迎えます。
6年生前半は、まだ残っている単元・埋め切れていない穴をフォローしながら、処理力の向上を図ります。具体的には、SAPIXの『コアプラス』や四谷大塚の『四科のまとめ』、シグマベスト『最高水準ノート』のポイントやチェックテストのページなどを利用して基本事項の総ざらいを行います。
この時点ではあくまで"処理力向上"が狙いです。ひと通りの"暗記"は既に出来ていることが前提ですので、テキストは数冊併用して、切り口や問われ方が変わっても迷いなく答えられるようにしていきます。
進度の早い生徒は、この辺りから少し高度な問題演習に入って行けるでしょう。
前述の『最高水準ノート』や姉妹テキストの『最高水準問題集』、四谷大塚の『実力完成問題集』などを使用することが多いです。
掛け持ちをせずにドクターに通っている生徒も基本的には同様の手順で授業を進めますが、最初の単元学習でより効率的な進め方をすることが可能です。
例えば、予習シリーズでは5年上の第9回で「てんびんとばね」という単元がありますが、その後1年以上経って6年上の第12回から「ばね」「浮力」「てこ」「輪軸と滑車」といった力学分野の単元が続きます。
ですが実際は、てんびんとてこは(もっというと輪軸と滑車も)同じものですので、モーメントの考え方を使って、一緒に学習してしまった方が理解を深められます。
同様に、5年下の第4回で学ぶ「豆電球の回路」では、電圧や電力の考え方を抜きに、電池や豆電球の並び方から明るさを判断させていますが、上位生にとっては、6年上の第8回に学ぶ電圧×電流=電力の考え方や電熱線の回路を一緒に学んでしまった方が分かりやすい筈です。
こういった部分で、細かく先取りをしながら進めていきます。
6年生の夏期講習以降は、過去問演習と過去問の類題演習を繰り返します。
ここで、計算問題や記述問題も処理スピードを上げて行きます。
実は以上に述べた事だけで、もう桜蔭理科の対策に不足はありません!
…とはいっても、最後に出てきた「計算問題」と「記述問題」について、不安を感じている人も少なくないと思います。
という訳で、以下ではその2つについて述べてまいります。
Ⅱ.計算問題の対策
繰り返しになりますが、難問・奇問の類は出題されません。
本質的な考え方をきちんと理解していて、標準的な問題が解ければ何も怖いことはないのです。
Ⅰ-(ii)・(iii)で述べた計算力とセンスが身に付いていれば自信を持って立ち向かえるでしょう。
確かに、力学分野は少々取っ付きにくい所かもしれませんが、「分からない」と感じている時は、大抵基本の考え方を良く理解出来ていないままテクニックだけで解こうとしている時です。
ところが、大抵の生徒はこのことに気付かないであれこれと迷走してしまいます。
これについては、講師が生徒の理解度を見極め、必要であれば本質の解説を繰り返さなければなりません。集団授業ではなかなか目の届き難い所ですが、受験ドクターでは個別指導の利点を活かし、こういったフォローに細かく配慮しています。
Ⅲ.記述問題の対策
きちんとした論理関係を追えれば問題ありません。
つまり、桜蔭レベルの国語の問題に取り組めるのであればこの程度の問題になんら不安を覚える必要はないということです。
え?国語に不安がある?…それは国語の先生に相談した方がいいかもしれませんね。
桜蔭中学では理社よりも算国の方が負担は大きいです。
理科に関しては、基本的な知識問題と計算さえ出来れば、記述対策は算国の後に回して貰って構いません。
また、不安を鎮めるために問題演習をしておきたいのであれば、駒場東邦の理科の問題を、記述の部分だけピックアップしてやってみるのが良いでしょう。
あまりに基本的すぎる内容に驚かれた方もいらっしゃるかもしれません。
けれど、これが女子の最高峰、桜蔭中の理科です。
何度も繰り返しますが、このような内容ですから、理科で受験生の間に合否の分かれ目になるような差は生じ得ません。社会も同じ状況です。
平均点は発表されていませんが、受験者平均と合格者平均の間に大きな差はないのではないでしょうか。
しかも、8割~9割を取る生徒も多いと思われます。
「理社はほぼ完璧にして」「その上で算国で差をつける」ことが合格のパターンです。
社会
例年大問が3~6題、総設問数40問前後出題されます。
地理、歴史の分野の出題のウェートが大きく公民の分野はやや少ない傾向が見られます。
今年度(平成22年度)の場合、地理、歴史、公民の出題数の比率は17:16:5とやはり地理、歴史の分野のウェートが大きかったです。
時事問題は独立して出題されるのではなく、地理や公民の分野との関連で問われる程度です。
桜蔭中の社会の特色は、大問の導入の文(リード文)が長いことです。
また、歴史の史料や地図、図表・グラフなどの資料の読み取り問題が毎年出題されています。近年、記述問題も複数出題されるようになりましたが、2~3行程度の比較的短く標準的なものです。
制限時間は30分で、総設問数40問前後を解くわけですから時間的余裕はあまりありません。
その上、記述問題や資料を読み取る問題のように「考える力」を問う問題もありますから、ただ漫然と問題を解くだけでなく時間配分にも注意する必要があります。
出題分野による分類
①地理、歴史の分野(総合問題としてリード文で誘導する形式)
a.ある特定の地域(たとえば、東京)に関する問題
b.ある特定のテーマ(たとえば、おせち料理)に関する問題
c.桜蔭中の周辺の地域に関する地理と歴史の融合問題
②公民の分野 毎年5~7問出題される
③時事問題 地理・公民との関連で1~2問出題される
出題形式による分類
①資料(地図、史料、図表・グラフなど)の読み取りの問題
②記述問題 2~3行程度の易しい問題 理由を説明させるものが多
い
③用語記入 漢字に注意 標準的な問題
④正誤問題 細かい知識が必要なものがある
⑤記号選択 簡単 細かい知識が必要なものがある
まとめ
桜蔭中の社会では、地理と歴史のウェートが大きく、公民の出題はやや少ないです。
時事問題は地理と公民の分野との絡みで問われますが1~2題程度。
また、地理や歴史はある特定の地域やテーマに関する総合問題として出題され、大問の導入文はかなり長いものです。
毎年、資料の読み取りが出るがそれほど難しくはありません。記述問題は2~3行程度の標準的なものが出題されます。
正誤問題や記号選択にはときには細かい知識を必要とするものもありますが概して容易なものです。
分析表(経年)
過去7年間の試験形式の変遷について
平成15年度(2003)までは社会と国語をあわせて制限時間55分でした。
平成16年度から社会のみの制限時間が30分となり、大問3~6題、総設問数40個程度になっています。
かつては記号選択の問題がほとんどでしたが、16年度以降、用語記入や2~3行程度の記述問題も出題されるようになりました。
今年度(平成22年度)は、特定のテーマ(おせち料理)を題材にした地理の総合問題、特定の地域(東京)を題材にした歴史の総合問題と公民の小問題という大問3題という形式でした。
近年この大問3題という形式が定着しています。
現在の形式になった直近の7年間の入試問題分析(分野)
平成22年度(2010)
1.おせち料理を題材にした地理の総合問題
2.東京を題材にした歴史の総合問題
3.公民の小問題
平成21年度(2009)
1.海上交通と水産業に関する地理の問題
2.文字の普及や教育制度を題材にした歴史の総合問題
3.日本国憲法と国際連合に関する公民の問題
平成20年度(2008)
1.野原と人間のかかわりを題材にした地理の問題
2.桜蔭中周辺の地域を題材にした歴史の総合問題
3.公民の小問題 時事問題含む
平成19年度(2007)
1.地形図や資料を読み取る地理の問題
2.京都の祇園祭りを題材にした歴史の総合問題
3.公民の小問題 時事問題含む
平成18年度(2006)
1.桜蔭中の校外活動を題材にした地理と歴史の総合問題
2.情報化社会に関する問題
3.近現代の歴史と国際社会に関する公民の問題
平成17年度(2005)
1.2004年のできごとを中心とした総合問題
2.地図や統計資料を読み取らせる地理の問題
3.石油を中心とした資源と工業についての地理の問題
4.日本の世界遺産を題材にした歴史の問題
5.史料を用いた各時代の歴史の問題
6.日本国憲法、政治、国際社会についての公民の正誤問題
平成16年度(2004)
1.貿易を中心とした国際関係についての地理の問題
2.地形図の読み取り、日本の農業についての問題
3.各時代の外交関係についてに歴史の問題
4.中国や朝鮮との関係を中心とした近現代の歴史の問題
5.選挙、地方自治、社会保障、核兵器についての公民の問題
2.桜蔭中学への合格戦略の提案
ここでは、桜蔭中の出題傾向分析のところで分類したものの中で、特に重要と思われる①地理、歴史の総合問題、②資料の読み取り問題、③記述問題についての合格戦略をご提案いたします。
①地理、歴史の総合問題の対策について
基本的には、社会の各分野のしっかりした基礎知識があれば大丈夫です。
ただし、社会の学習で大切なことは、歴史、地理、政治、経済、時事問題等をそれぞれ独立したものと考えないで、それらを相互に関連づけて学習すること。
また、桜蔭中周辺の地理や歴史についてはあらかじめ調べておくといいでしょう。
②資料の読み取りの問題の対策について
資料の中に隠れている関係やことがらを基礎知識を使って見つけていくことになりますので、まず、歴史、地理、政治、経済、時事問題の基礎知識を盤石にすることが大前提です。
特に地理では、地図の読み取りがよく出題されますので、地図記号や尾根や谷、また、縮尺等はしっかり練習しておきましょう。
③記述問題の対策について
まず、なにをきかれているのか、設問をしっかり読むことが大切です。
その際、出題者の意図も考えられるとなおいいでしょう。
自分の知識とリード文を参考にして解答のポイントを書き出します。
あとはそれらを論理的につなぎ合わせて文章化する練習をします。
できた解答は塾の先生に添削してもらうといいでしょう。
桜蔭中の社会の記述問題は理由を説明させるものが多いので、日頃から「なぜそうなのか(そうなったのか)」という因果関係に注意して学習するようにしましょう。

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